『トロピコ5』レビュー。Civシリーズっぽくなり相変わらず面白い!

トロピコ』というゲームをご存知でしょうか。

簡単に説明すると、「プレイヤーは島の統治者(プレジデンテ)となり、あらゆる建物を建設しながら島を発展させる経営シミュレーションゲーム」です。
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前作『トロピコ3』にドハマりし、当時の私が持っていた「この世で一番面白いゲームはシムズだ」という確信を根底から覆した傑作ゲームです。


今回は最新作、トロピコ5のプレイレビューを書いていきます。

トロピコ5 PS4版

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価格:7,160円(税込、送料込)



どことなくシヴィライゼーションっぽい

しばらくプレイして感じた感想は「相変わらず面白い」と、「どことなくシヴィライゼーションっぽいな」です。


技術ツリーが追加。1つひとつ技術を獲得!

まず、技術ツリーの追加。
トロピコ5では研究施設を建設し、研究ポイントを産出することで新しい技術を獲得出来るというシステムが追加されています。

最初は農業や伐採業などの一次産業が主だけど、技術を獲得するとラム酒工場や製材所・家具工場が建てられるようになる。 技術が進む毎に新しい布告も出せるようになる……など。

技術を獲得する毎に、さらに高度な技術開発を進められるようになります。
経済や島民の幸福度だけでなく技術研究も視野に入れる必要があります。


管理者の追加

まれに島民の中から、「建設物の効果を上げる」、「周囲の環境汚染を減少させる」などの特別なスキルをもった者が現れます。
これが管理者です。 シヴィライゼーションでいうところの【偉人】にあたります。

出現した管理者は、好きな建物に配置(派遣?)出来ます。
この管理者を上手く使って建物に追加の効果を持たせるのが、今作の建造物管理のポイントです。
管理者は自動的に出現するので、知らない内に管理者がたくさん表れていて、急いで配置を考える……なんて事もよくあります。


プレジデンテの設定が簡略化され、固有の能力を持てるようになった

前作まではプレジデンテのエディットはかなり細かく出来ました。
外見に加え、性格や特性、プレジデンテになった経緯、欠点など。 これら1つひとつがプレジデンテの能力になるので、島の統治に有利な能力をいくつも持ったプレジデンテを作る事が出来ました(逆にとんでもない役立たずのプレジデンテを作る縛りプレイなども)。


しかし今作ではエディットが簡略化され、性格は完全削除。 プレジデンテの能力も1つだけです。
かわりに欠点(プレイの妨げとなってしまう能力。 必ず1つ設定しなければならない)が無くなりました。

これは賛否両論ありそうですが、私は良いと思います。
前作までのエディットは、正直ややこしい面があった事は否めません。
もちろんそれだけ個性的なプレジデンテを作る事が出来たのは魅力であり、自分そっくりで感情移入出来るプレジデンテを作れるなどのメリットもありましたが。

今作では複雑さを取り除いたという点が評価出来ます。
1人一能力というシンプルな設定。 これは特殊能力をテーマにした作品の基本です。
外見のエディットは自由なままなので、難解な部分を簡略化したのは良改編でしょう。


プレジデンテの親族が追加。一族全員で島を統治

さらに、プレジデンテの親族が追加。 本作ではランダムに提示されるタスク(ミッションのようなもの)があるのですが、特定のタスクをクリアすれば報酬として親族が一人作れます。

つまり違う能力を持ったプレジデンテを複数人作り、同時に島に存在させられるという事です。 親族の能力も島に反映されるので、親族が増えれば増えるほどプレイに恩恵が受けられます。

1度作ったプレジデンテ一族は保存されるので、育てた一族を別のプレイで使い回すことも出来ます。
超強化した一族で"強くてニューゲーム"状態でプレイするのも面白いです。


時代が進む

トロピコ5には「植民地時代・世界大戦時代・冷戦時代・現代」と、時代の変化が取り入れられています。
植民地時代は帝国のご機嫌取りをして任期を伸ばしつつ、革命派の島民を増やして独立し、世界大戦時代に進む……といった具合。


時代が進むと建造物や布告のロックが解除され、統治の幅が拡がるシステムです。
特に植民地時代は序盤の面白ポイントです。 いかにして任期を伸ばしながら革命派を増やしていくか。 この思考を巡らせている瞬間が楽しい。

自分より強いものの裏を欠くワクワク感を楽しめるのが大変良い!

きっとトロピコ3軍事クーデターを起こしたアイツらもこんな気持ちだったんだろうなぁ(´ω`)
あんときゃ大変だった……(遠い目)


家も最初は掘っ立て小屋に毛が生えた程度の簡易住宅しか立てられないけど、時代が進めば一般住宅地やアパートを建てられるようになる……など。
単なる時間の流れで済まないような工夫がされています。

交易要素の強化

島の生産物を輸出して金を稼ぐのは前作と同じですが、今作では交易が強化されています。

まず「輸入」が追加され、他国から物資を輸入出来ます。 これにより足りない分の食料や、島で枯渇して手に入らなくなった天然資源を再び手に入れる事が可能となりました。

さらに輸出では、【特定の交易ルート】が追加されています。
これらの交易ルートを使えば、デフォルトの輸出ルートよりも割高な値段で取引できます。
(これはシヴィライゼーションにはないシステムでしたよね?)

面白いのが、密輸業者海賊の交易ルートも利用できる所です。
帝国やアメリカ・中国・中東などの近隣諸国に加え、それ以外の非合法組織に密輸することが出来ます。 しかも裏ルートはさらに割高で取引でき、かなり儲けられます。

単純に利益を伸ばしたければ裏のルートで取引すれば良い。 正攻法以外に悪徳業者に加担する事が出来るというこの自由度! 非常にワクワクします。
(ただし、あまりに露骨にやり続けると近隣諸国からの信頼がドンドン減っていきます。 表のルートと併用し、バランスよくやるのが良いでしょう)


スイス銀行の利用が可能。プレジデンテをスキルアップ

トロピコ伝統のスイス銀行。 かのゴルゴ13も口座を持っている、世界一安全で信頼の高い銀行です。

今まではスイス銀行の口座に入金したら、出金することは不可能。 クリア時のスコア稼ぎと、私腹を肥やして高笑いする位しか使い道がありませんでした。
ところが今作では、スイス銀行口座の金を使ってプレジデントをレベルアップさせる事が出来ます。

「プレジデンテには1つの能力を持たせられる」と上述しましたが、それはレベルアップにより効果を上げられます。
今作はただ私腹を肥やすだけじゃないのです。
横領したお金を自分の為に使える。 しかも使い道は自分のレベルアップです。
まさにプレジデンテの特権ではありませんか!


……え?
「でも結局、横領しているってことだから悪人だろう」って?

いえいえ、自分の為に使うといっても、スキルアップするという意味です。

プレジデンテの能力が上がれば島の経済が効率的になったり、環境汚染が少なくなるなど、島民にとっても良いことが起こります。
いわば裏金を島に還元するということ。

少なくとも、娯楽に費やして酒池肉林の独裁者生活を満喫するよりははるかに健全と言えます。 (というか個人的にはソッチ方面のシステムも欲しかったのですがw)


まとめ

様々な部分が改良されていますが、根本的な部分は何も変わっていません。

島の経済や幸福度に気を配りながら、より良い島に育て上げる。 出現する反乱者には、軍を強化するなり報道規制を敷くなり 、刑務所にぶちこむなりして対抗する。
資本主義・社会主義・宗教国家や軍事独裁など、あらゆる政治体制を自分で作り出せる高い自由度。
そして国庫の金を横領して私腹を肥やす背徳の混じった快感など。

完成度の高いシミュレーションゲームであるという所は何一つ変わっていません。
買って良かったと思える作品です。


島民の暮らしぶりを眺めるだけで面白いというのが素晴らしいです。
しばらくはプレジデンテとして、島の発展と裏金稼ぎに注力する日が続きそうです。


2018.10.23追記
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