最近読んだ『リィンカーネーションの花弁』という漫画の感想。
一回読んで即、お気に入り作品となりました!
登場人物は全員、歴史に名を残す偉人の生まれ変わりで、偉人だった前世の才能を手にいれた者達による能力バトル漫画です。
能力を"才能"と呼び変えている点が新しいですね。創作では目新しさを付けるのが大切と『バクマン。』で読みましたが、その点は間違いなく成功している作品と言えます。
そして『リィンカーネーションの花弁』に登場する能力は、全てワクワクするようなものばかりです。
特殊能力ものは「この能力スゲーッ! 超欲しィーッ!!!」感が大切
能力バトルは、「自分がその能力を手に入れたとして、ワクワクする能力か」が重要だと思います。
例えば『文豪ストレイドックス』というマンガがあります。
文学史に名を残す作家をキャラにした能力バトル漫画なのですが。
この作品に登場する能力はヒジョーに惜しい。何がというと、ワクワク感がイマイチ弱いのです。
一部を覗き、汎用性の無さそうな能力が多い。例えば、
- 体を白虎に変化させる「月下獣」(中島敦)
- 敵を異空間に引きずり込んで巨大人形に襲わせる「深淵の赤毛のアン」(ルーシー・モード・モンゴメリ)
- 武者姿の女性の幻影を召喚する「夜叉白雪」(泉鏡花)、同じタイプの「金色夜叉」(尾崎紅葉)
- 相手の能力を無効化する「人間失格」(太宰治)
スゴいはスゴいんだけど、汎用性や応用の面で疑問です。
また、能力のもつデメリットなども目につきます
- 身体能力を強化できるが、空腹状態でしか能力を使えない「雨ニモマケズ」(宮沢賢治)
- 治療能力だが、相手が瀕死の状態でなければ回復させられない「君死給勿(きみしにたもうことなかれ)」(与謝野晶子)
- ※軽い怪我を直したければ鉈などで瀕死の重症を負わせる必要がある
- 手帳に書いた物を具現化できるが、手帳よりも大きいサイズのものは具現化できない「独歩吟客」(国木田独歩)
『文豪ストレイドックス』に登場する能力は全体的に戦闘向きです。
戦闘では有効なものの、戦闘以外の探偵業務ではどれくらい役に立つのか。
それがイマイチ伝わってこず、作中でも詳しくは描かれません。
だからあまりワクワクしないのでしょう。
能力バトルの能力は、日常でも役立ちそうだと想像出来るからワクワクします。
戦闘で強いのはもちろん、日常でも応用が効く便利な能力だと魅力的です。
だって私たちは日常で生きているんですから!
「うおぉーッ! この能力超カッケーッ! 超便利ーッ!! 超欲しーッ!!!」
こう読者に思わせなければならない訳です
別に文豪ストレイドックスがダメだと言うつもりはないですよ。
面白いんですよ! 私は好きな作品です。
インパクトも重要 『ヒーローズ』と『アルファズ』の差
『ヒーローズ』という有名な海外ドラマがありますね。
日食とともに突然特殊能力に目覚めた者達が繰り広げるSFドラマです。
また、『アルファズ』というドラマもあり、こちらも同じく特殊能力ものです。
『アルファズ』は『ヒーローズ』ほど人気が出ず、シーズン2で打ち切りになりました。
私はこれも、能力のワクワク感が無かったからだとかんがえています。
というのも、アルファズに登場する能力は「人間がもともと持っている身体機能が発達したもの」という描かれ方がされており、『ヒーローズ』に比べて現実的です。
例えば、
- 怪力(ビル・ハーゲン)
- 感覚強化(レイチェル・ピルザド)
- 視線を合わせた相手を洗脳する(ニーナ・セロー)
- 鋭い視覚により電波を視認出来る(ゲイリー・ベル)
ストーリー毎に他の能力者が登場しますが、それらもコウモリのように超音波を発したり、ノイマン並の異常な計算能力を発揮したりなど。
どれも現実的です。
『ヒーローズ』は生身で空を飛んだり手から炎を発したり、時止めやタイムトラベルをしたりなど、ファンタジックな能力が多数登場しています。
それに比べるとアルファズの能力はどうしてもインパクトに欠ける。言ってしまえば地味なんです。
地味な能力は、派手な能力が多いからこそ目立つ
ヒーローズにも現実的な能力はあります。
「マインドコントロール」や「怪力」、「飢え(強烈な知識欲)を伴う高度な学習能力」など。
こうした現実的な能力は、非現実的な能力の中にあるからこそ光るものです。
もはや忍術ではなく超能力というレベルのキャラが多いNARUTOですが、油女シノは虫使い、特殊な虫を使った術を得意とします。
どこを見渡してもファンタジックな能力の中で、一人の地味な能力者が奮闘する。 これだけでキャラも能力も目立つし、ストーリー展開によってはいくらでも料理可能な素材となります。
(特に上述したひーろーずの「学習能力」の能力者はボス格ですから。 他者の能力を学習しどんどん新しい能力を身につけるという、『とある科学の超電磁砲』でいうところの"マルチスキル"のような能力者です)
屈強な戦士の中にいる一人のひ弱なキャラが強大な敵に立ち向かう。このようなものは定番、王道でしょう。
このように、周りが派手だからこそ、地味な能力が逆にワクワク感を覚えさせるのです。
よってアルファズは全体的に地味な見ごたえだし、「この能力スゲーッ! 欲しいーッ!!」というワクワク感も薄い。
ヒットしなかったのは他の要因もあるだろうけど、能力のワクワク感が無いのは大きな弱点だったと感じます。
(アルファズも面白いんですけどね。 現実的に再現可能な能力なんて渋くて格好いいではありませんか!)
まとめ
長々と書きましたが、要するに「特殊能力バトルは、能力のワクワク感が大切」という事です。
その点では『リィンカーネーションの花弁』は素晴らしい。
どれもこれもワクワク感満載の能力ばかり。
リィンカーネーションの花弁の特殊能力者は、基本スペックと特殊能力の2つを得ています。
- 「あらゆる確率を把握出来る+どんな低確率でも確実にそれを引き起こせる」(シュレーディンガーの才能)
- 「カニバリズムとマゾヒズムに目覚める+食人によって身体能力を強化する」(アルバート・フィッシュの才能)
- 「瞬時に怪我が回復する不死の肉体になる+歩併用の装備を自由に具現化出来る」(船坂弘の才能)
前世の才能に目覚めれば、ここまで強くなれるのです!
どうです、ヤバイくらいのワクワク感があるでしょう!?
しばらくは『リィンカーネーションの花弁』がお気に入りとなりそうです。