『侍道4』 細部まで作り込まれたイベントが魅力

和製箱庭ゲームの中ではトップクラスの作品だと感じるゲームがあります。

それは『侍道』シリーズ。
その中でも今回は『侍道4』を取り上げます。


なぜこの作品がトップクラスと言えるのか?
それは「イベント回りの構成が綿密に作り込まれている」からです。


侍道は毎回、小さな町が舞台です
この町では、いくつもの事件、イベント同士が複雑に絡み合い、1つの舞台を形成しています。

このイベントが非常に作り込まれています。イベントの数自体も豊富ですが、特筆すべきは『イベント同士の絡み合い』です。



あるイベントでは語られなかった謎が、別ルートのイベントをクリアすることで解ける……侍道をプレイするとこのような経験が1つや2つじゃありません。



例えば侍道4での攘夷志士のルートで、『役人が海外から武器を密輸している。売国奴許すまじ。役人を斬れ!』というイベントが発生します。


これをクリアしても本当に武器密輸だったかは分かりませんが、別ルートをプレイすれば『武器ではなくただの金属製の部品だった』という事が分かります。



つまりその役人は「無実の罪を擦り付けられた」という訳ですね

この密輸という誤情報は、攘夷志士たちに協力的な、居酒屋の女将が流したものです。



この時点でフロム能患者に代表される懐疑的思考を持つ人々は、

『じゃあその女将はどこから情報を得たのか? 』

『役人が武器密輸の嫌疑を掛けられたのは偶然なのか?』

『そもそもなぜ女将は攘夷派に協力的なのか?』

……といった疑問が湧いてくるでしょう。



これらの疑問はさらに別のイベントをこなし、女将の正体に迫る事で芋づる式に真相が判明します。

大抵の謎に答えが用意されているのがおもしろい所。



なおかつ、テキストで分かりやすく解説されるのではなく、断片的な情報としてプレイヤーに示されるに止まっており、それらの情報を繋げて全容を描く行程は私たちの頭の中で起こります。


この複数のイベントで得た情報が頭の中で繋がり、1つの大きな流れに気付く瞬間は快感です。気分はさながら刑事ドラマや探偵ドラマの主人公。



エンディング回収やコンプ要素が豊富で、一通りクリアするにも周回プレイ必須なのですが、プレイスタイルや選択肢によってイベントの会話が変わるので飽きることがありません。



ゲーム開始からエンディングまで、早ければ一時間もかからない(何の寄り道もせずイベントだけこなせば)ので、周回も苦になりません。
箱庭ゲーの真髄とも言えるクオリティです。



ストーリー構成としては群像劇に近いですね。手軽に遊べて何周も出来るゲームがしたいなら、『侍道』シリーズがオススメです。