『スーサイド・スクワッド』ネタバレレビュー。バラバラの悪人達が仲間となっていく展開が熱い
映画『スーサイド・スクワッド』を見ました。
ハーレイクインとジョーカーが目当てでしたが、予想以上に楽しい作品でした。
- ヴィラン集団が巨悪に立ち向かう異色作
- 現代のギャングスタ、ジョーカー
- ジョーカーはチョイ役。その理由とは?
- デッドショット
- ハーレイクイン
- キャプテン・ブーメラン
- エル・ディアブロ
- スリップノット
- キラー・クロック
- カタナ
- エンチャントレス
- まとめ
ヴィラン集団が巨悪に立ち向かう異色作
映画『スーサイド・スクワッド』予告1【HD】2016年9月10日公開
「ヴィランを集めて凶悪犯罪解決に協力させる」という極秘プロジェクトにより結成されたチーム、タスクフォースX。
犯罪者だから死んでも構わないという、まさにスーサイド・スクワッド(自殺部隊)。
このチームは全員悪人です。
その上、無理やりチームを組まされ任務を押し付けられてしまいます。
だからいつ逃げ出すかわかりません。
「コイツらそのうち逃げ出すんじゃないか!?」というスリルが良いです。
また、凶悪犯を集めただけの即興チームなので、結束もまったくない。
そのバラバラな悪人集団が任務を通じて、最後は本当の仲間になる展開が素晴らしい。
ラストシーンではまたバラバラになるのが少し悲しいです。
あくまで悪人ですからね。特にハーレイクインが改心したらジョーカーが泣くかもしれません。
現代のギャングスタ、ジョーカー
主要キャラとなるのはハーレイクインで、ジョーカーはチョイ役です。
ただしキャラ作りはかなり凝られています。ナイフがズラリとならんだ部屋で横になり、不気味に笑う姿が良い。
全身タトゥーだらけで、黄金のネックレスと指輪をジャラジャラつけているなど。
そもそも本作のジョーカーは”現代的なギャングスタ”をイメージして作られたそうです。
旧来のジョーカーとはまったく違う印象です。
一時期ネットでも話題になりましたね。「違い過ぎる!」と。
ですが個人的にはありです。
手のひらに”歯をむき出して笑う口”のイレズミがあり、それで口を隠して笑うシーンとか。
獣のように「グルル……」とノドを鳴らすのも、ジョーカーのイメージではないものの、キャラ付けとしては良い。
ヒース・レジャーのジョーカーは唇を舐めるクセがありましたが、あれと同じです。
ジョーカーはチョイ役。その理由とは?
タスクフォースXは悪人だけの集団です。
作中でジョーカーは脱獄済みで、チームには入っていません。
この判断は正解ですね。
なぜならジョーカーを入れたら間違いなくチームとして成り立たないからです!
ジョーカーは完全な狂人であり、仲間はいるが、ビジネスパートナーのような協力関係です。
仲間といえるのはハーレイクインで、ハーレイの脱走に全面協力しています。
ジョーカーがチームに入らなかったのは正解です。
あんな危険人物がチームにいたら絶対に破綻する!
だからスーサイド・スクワッドにおいて、ジョーカーはあの立ち位置がちょうど良いと思いました。
以下、キャラ毎の感想。
デッドショット
一番主人公らしさがあり、一番ヒーローっぽさのある人。
射撃の名手。百発百中のスナイパー。
『女と子供は殺さない主義』らしい。職業暗殺者という感じ。
ハーレイクインとの関係性が見所です。
脱走したハーレイを狙撃しなければならなくなった時は、わざとはずしたり、その後ハーレイが戻ってきた時、ジョーカーが死んで落ち込んでいる事に誰よりも早く気づき、誰よりも歓迎していました。
ハーレイに娘の姿を重ねていた?
デッドショットには娘がいます。
もちろんハーレイクインよりも幼く、まだ小学生くらいの子供です。
デッドショットの娘、ゾーイは年の割りに落ち着いており、父親の仕事が殺し屋だという事も受け入れています。
大人っぽいんですね。
一方ハーレイクインは年の割りに子供っぽい言動をするサイコパスです。
デッドショットはそんなハーレイに、”まだ幼かった頃のゾーイ”を重ねていたのかも。
ハーレイに恋をしているような描写は無かったので、そう考えるのが自然です
ハーレイクイン
ハーレイクインはジョーカーほど狂っていません。
ジョーカーの拷問によって子供っぽい言動の目立つサイコパスになったものの、人間的な一面も残っています。
ジョーカーの乗ったヘリが墜落した後、それまでのナチュラルハイなテンションが嘘のように落ち込んでいます。
なのに他のメンバーが近づいてきたら明るく振舞います。落ち込んでいる様子を見られたくなかったのでしょう。このシーンでハーレイクインが好きになりました。
命令を放棄してバーに行くシーンでは、ハーレイがバーカウンターにいます。
そしてヘッドショットにウイスキーを注いで差し出します。
もしかしたら他のメンバーにも酒を出してあげたのかもしれません。
(ハーレイクインだけ凝ったカクテルを飲んでいます。)
この2人はチームの中でも特に仲間っぽくなっています。
キャプテン・ブーメラン
チームの中で一番のクソ野郎。
宝石強盗でつかまったのですが、「ばあちゃんとマージャンしていた。俺はやってねぇ!」とシラを切ります。
首に埋め込まれた爆弾が解除された瞬間、誰よりも早く逃げ出すなど、ブーメラン技術は凄いのに小物感ハンパ無いです。
また、スリップノットが死ぬ原因を作った張本人です。
限られた時間でしっかりとクズさ加減が描写されていました。
(しかし最終決戦にはちゃんと戻ってきたし、ブーメランに取り付けたカメラで敵地を偵察するなど、見せ場もそれなりにあります)
エル・ディアブロ
かつてデッドショットと同じく妻子がいたが、自分の能力で焼き殺してしまい、自首した悪人。
妻と子供を殺した罪悪感で、刑務所内では独りで死ぬことだけを望んでいた。
覇気がなく弱々しいが、実は肉弾戦最強。
周囲一帯を炎で焼き尽くすことも出来る強キャラです。
凶悪犯だけど根は善人という定番キャラ。
デッドショットが『女と子供は殺さない主義』を持っている事に気づいたり、バーに行くシーンではイマイチ皆と打ち解けていなかったキラー・クロックに声をかけるなど、地味に良いシーンがあります。
エンチャントレスの幻術から真っ先に目覚めたのもコイツです。
”自分の手で殺した妻子と共に暮らす”という、現実ではありえない幻覚を見せたエンチャントレスの失態でしょうか。むしろ罪悪感と後悔がエンチャントレスの幻覚を打ち破ったと考えています。
スリップノット
作中唯一、殺される悪人。
キャプテン・ブーメランに「首に埋め込まれた爆弾はどうせハッタリだ」と言われ、ブーメランとともに逃走しようとします。
しかし当のブーメランは早々に捕獲され、スリップノットだけが爆弾を爆発されました。
逃走防止爆弾のフラグ回収と、『登場人物の何名かは死ぬことが決められている』を体現する為の可哀想な役回りです。
寡黙な感じでなかなか格好よかっただけに残念。
キラー・クロック
退行進化したトカゲ人間。
チーム唯一の人外な外見を持っています。リザードとは誕生の経緯が違います。
特定の誰かと絆を深める描写は無く、チャドにバーへ誘われたくらい。仲間外れにならないように気を使うディアブロが優しい。ディアブロは全身タトゥーで見た目のインパクトはクロックの次に高いし、なんとなく親近感が湧いたのかも。
カタナ
東洋人で剣術使い。
悪人ではなく、タスクフォースXを率いる軍人の護衛役として任務に参加した。
魂を吸い取る妖刀を使う。カタナとはコードネーム。
任務が実は尻拭いだったとしり、チームと共にバーに行く
凶悪犯と善人がバーで一緒にたむろする構図が良い。
ハッキリとした仲間意識はないが、敵同士でもない微妙な距離感がそそる。
エンチャントレス
6000年生きた不老の魔女。
封印されていたが、考古学者の人間が封印を解き、乗り移った。
登場早々、『一瞬の内に瞬間移動し、重要機密の極秘ファイルを取ってくる』というトンでも技を披露した、作中随一のチート能力者。
弱点は心臓で、登場時点で奪われており好き勝手出来ない状況にある。
「暴走したら危険? 弱点の心臓はコッチが持ってんだからダイジョーブダイジョーブw」というフラグを見事に回収してくれた
そもそもチームの中でエンチャントレスだけチート過ぎます。
予想通り、エンチャントレスが本作のボスになりました。
まとめ
ハーレイクインが可愛かったというミーハーな理由で見た作品ですが、一番のお気に入りはデッドショットです。
この2人が最も目立っていましたが、個々のキャラ付けもちゃんと作られています。
キャプテン・ブーメラン「女はちょっと、イカれている位が色っぽい」というセリフがありますが、100%同意します。確かにその通り。
私は常々、『女性を美しくするのは恋ではなく武器』と確信しています。
バットで敵をメッタ打ちにし、装飾された銃で敵を撃ちぬくハーレイクインが最高に美しかった。
なお上記のセリフにハーレイクインが反応するのが面白い。
イカれているって自覚はあるんですね(笑)
エンチャントレスに立ち向かう時の、全員が肩を並べて歩くシーンが完全にヒーローでした。
下手すりゃファンタスティックフォーより格好いい。
アメコミ版『ワイルドセブン』といった作品です。
『毒をもって毒を制す』というコンセプトが好きな人にオススメ。
てんでバラバラの極悪人達が少しずつ仲間らしくなっていく過程が最高です。