【ネタバレ考察】映画『キャリー』感想。心情の描写とトミーのイケメンっぷりに注目!


クロエ・モレッツが目当てで、映画『キャリー』を観ました。
キックアス』でヒットガールを演じたクロエですが、本作『キャリー』では超能力を持ったイジメられっ子の役です。

 

映画キャリー クロエ・モレッツ

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 全く正反対なのに完璧に演じ分けらています。この時若干16歳にしてこの演技力は天才的としか言いようがない。
この世の存在とは思えないくらい可愛い上、演者としての実力も高い。天は二物を与えずといいますが、クロエ・モレッツほど天に愛された人が果たして居るのでしょうか。


あらすじなどは各自調べて貰うか実際に鑑賞してもらうとして。今回は『キャリー』を見て思った事を書きます。

 

 

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なぜスーはキャリーをプロムに行かせたのか

スーは自分の彼氏であるトミーに、「キャリーをプロムに誘って」と頼みます。プロムといえば高校を卒業する生徒たちの為のダンスパーティ。高校生活最後にして最大の記念となるイベントですね。

 

ネットではスーがキャリーをプロムに行かせた理由が分からないという感想を持った人も居ました。私なりの感想ですが、スーは「キャリーが自分の代わりにプロムを楽しむことで償いになる」と考えたからだと思います。


まずスー自身はプロムに出たくない訳ではなく、むしろ楽しみにしています。赤いドレスを用意し、それを見つめるシーンもあり、プロムが高校生活最大の思い出となるとも思っているはず。トミーという相手もいる。行かない理由がありません。

一方のキャリーは引っ込み思案で恋人も無し。長いこと学校に通わなかったので友達も居ない。プロムのようなイベントには縁遠く、キャリーにはプロムに行く理由が無い。

 

スーは「キャリーにプロムで楽しい思い出を作ってもらいたい」と考えたのだと思います。このまま卒業したらイジメられた記憶しか残らず、スーはそれを避けたかったのでしょう。


プロムに出ないという罰

また、スーはおそらく「自分がプロムに出ないという罰を受ける事で贖罪となる」とも考えたのではないかと。
キャリーをイジメた自分にはプロムを楽しむ資格がない。自分よりもキャリーが楽しむべきだ。そう考え、トミーにキャリーを誘うように言ったのではないかと思います。


キリスト教における自己犠牲の精神です。
『キャリー』原作は未読ですが、聞いた話だと宗教色の強い作品らしいです。そもそもキャリーの母親が狂信的なクリスチャンです。その狂信さたるや、エド・ゲインの母親、オーガスタを彷彿とさせるほど。キリスト教が悪い訳ではないですが、行き過ぎるのはいけませんね。


こうしたキリスト教の要素が中核にある物語なので、スーが自己犠牲によってイジメの償いをしているという考察もあながち間違ってはいないと思います(クリスが停学になりプロム参加禁止という罰を受けた事もスーの決意を後押ししたのでしょう)。

 

映画を観ている側としては、キャリーをプロムに参加させるのはほとんどイジメだろと思ってしまいます。しかしスーが抱いた後悔と、償いの意思を考えればこのストーリー運びも納得が行きます。

 

ほら、10代後半って私たちが思っているより頭が良いけど、本人たちが思っているよりは頭が良くないという微妙な年頃ですよね。
スーとしては「自分の代わりにプロムを楽しむのがキャリーに対する償いになる」と考えても不思議ではありません。


トミーのイケメンっぷり

スーの恋人であるトミー。こいつがメチャクチャいい奴です。こんなのと友達になりたい。

トミーはスーに頼まれた通り、キャリーをプロムに誘います。スーがイジメに荷担した事を深く後悔し、償いをしたいと思っていることを知っていたからです。

プロムではしっかりキャリーをエスコートし、ダンスを教えて一緒に踊るなど、プロムの間だけでも恋人として接しています。


最初は「こいつキャリーとワンチャン狙っているんじゃねーだろうな?」とゲスな勘繰りをしましたが、多分そんなことは無かったのでしょう。10時半には帰るというキャリーの意思を尊重していますし、プロム会場に向かう所からダンスシーンにかけて、ものスゴく紳士的


さらにキャリーが豚の血を浴びせかけられたシーンでは、会場の誰よりも先に激昂しています。


そもそも序盤でのスーとのファックシーン。キャリーを思い出したスーが途中で行為を止めるんですが、トミーは落ち込むスーを気遣い、励ますんですよ。途中で一方的に止めさせられたのに。これだけでトミーの人間性が推し測れるというもの。

クリスの彼氏が正真正銘のゲス野郎なのに対し、トミーの聖人君子っぷりはヤバい。


スーの意思を汲み取った上、キャリーにもプロムの相手として接する。こんな性格イケメンと付き合っているのだから、スーだって優しい良い子に決まっています。


教室での詩の朗読。トミーだけがキャリーを誉めた

国語(?)の授業でキャリーが詩を朗読するシーン。ここでもトミーのイケメンっぷりが垣間見えます。
キャリーが朗読を始めると、最初は教室内でクスクスと笑いが起こるんですよ。(主にクソ野郎のクリス)。しかしその笑い声は次第に収まっていき、キャリーが朗読を終える頃には教室中が静寂に包まれます。聞き入ってしまったのでしょうね。


このシーンで、トミーだけがはっきりとキャリーを賞賛します。最高だと。詩の内容を茶化す教師に「ウゼェ」とこぼす所は、本当に心の声が漏れてしまった感じで素晴らしいです。(別にトミーだけでなく、よく見るともう一人、真面目にキャリーの朗読を聞く生徒がいるんですけどね)

 

席に戻ったキャリーは、トミーをチラッと見るのですが、それをスーが目撃しています。ここで「キャリーをプロムに参加させる」ことを思い付いたのでしょうね。トミーなら恋人役としてこれ以上ないキャスティングですし。


キャリーはトミーに恋をしていたのか?

トミーは本当に恋人のように、キャリーに対して紳士的に接していました。そこで気になるのが、「キャリーはトミーをどう思っていたか?」です。

 

私は好きになりかけていたのだと思います。

終盤、キャリーが激しい怒りによって超能力を暴走させるシーン。豚の血を浴びせられた事によるパニックですが、それと共に落下物がトミーの頭に直撃する瞬間を見たのも理由です。

 

キャリーは普通の女の子に憧れていました。学校に通ったり、可愛い服装をしたり、友達を作ったりなど、そのままの意味での普通。その中には恋人を作るも入っていたでしょう。

 

初めはキャリーも、トミーは詩を誉めてくれた男の子としか思っていなかったはず。プロムに行く車中や一緒にダンスを踊るなどで、トミーの人間性に触れ、好きになりかけていたんだと思います。

一方のトミーはすでにスーという恋人がいるので、キャリーとどうこうなりたいとは思っていなかったはず。願わくばそうであって欲しいです。トミー、私の幻想を壊さないでくれよ、信じているぞ。

 

まとめ

長くなったので簡潔にまとめます。

 

  • スーがキャリーをプロムに参加させたのは償いのため
  • スーがプロムに出なかったのは自分への罰として
  • トミーのイケメンっぷりは一見の価値あり第2の主人公といっても過言ではない
  • キャリーはトミーに恋しかけていた。終盤、キャリーが暴走したのはそれが理由の1つ

 

単なるホラーやSFではなく、キャラの心情が綿密に描かれた傑作です。皆様も是非一度『キャリー』を、ご覧ください。
もちろん『キックアス』もオススメです。