『マーダード 魂の呼ぶ声』はクソゲーじゃない。ストーリーと雰囲気が最高の神ゲー【レビュー】

PS4/PS3ソフト『マーダード 魂の呼ぶ声』をクリアしました。

 

ネットでは評価が低く、クソゲーとも言われるこの作品。

実際にプレイしてみて、「むしろコレは神ゲーなのではないか?」と思いました。

 

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ホラー感満載のダークな雰囲気

マーダードは映画をそのままゲームにしたような、ストーリー重視の作品です。

ゲーム全体にホラーでダークな雰囲気が漂い、ストーリーを肉付けしています。

 

ゲーム内は夜なので暗く、町のあらゆる場所にボンヤリとした青白い幽霊が存在します。

 

 

壁抜け、憑依によるゴーストっぽさ

主人公ロナンは幽霊です。

なので壁のすり抜けや、町の住人へ憑依、強い未練を残した幽霊との会話など、アクションの全てが幽霊らしく作られています。

 

憑依して心の声を聞く、思考を操作する、現場に残る残留思念を読み取るなど。

 

もしも自分が幽霊になったら……という想像をしたことのある人は多いでしょう。マーダードは雰囲気が精巧に作られており、幽霊の状態をリアルに体験出来ます。

 

セイラムの歴史背景

舞台となるセイラムには、町の歴史を記したアーカイブが多数あります。オープンワールドでお馴染みの、世界観を断片的に説明するアレです。

 

過去に起きたセイラム魔女裁判(※実話)の様子が分かるなど、歴史の中で生き続けて来た町の雰囲気が出ています。

 

街中にはロナンの恋人の日記なども落ちており、出会いから結婚までの軌跡を読めるなど。主人公の背景もキッチリ描かれるのがポイント。

ロナンは全身にタトゥーを彫っており、一見するとギャングにしか見えません。そんなロナンがどういう経緯で刑事になったのか。恋人目線で明かされるロナンの過去は、物語として面白い。

 

恋人の日記はもちろん収集物の1つ。コンプリート要素として働きます。

 

幽霊のデザイン

マーダードは主人公が幽霊、町の至るところにも幽霊がおり、主要なキャラも幽霊が多い。この幽霊のデザインが素晴らしい。

 

マーダードには「幽霊は死んだ直前の状態でさ迷う」というテーマがあるらしく、ロナンは銃撃されて死んだことにより、胸から腹に書けて銃創があります。身体に7つの穴が空き、体内で炎が燃えているように光っています。

 

中盤にはベル・キラーの被害者である、水死させられた幽霊&焼死させられた幽霊が登場。

水死した幽霊は髪や服が濡れていたり、焼死した幽霊は右半身が燃えたままです。

 

この演出がお気に入りです。もしも自分が死んだら、そのままの状態で幽霊になるのかも……と感じさせられます。

 

幽霊や残留思考が存在する町、セイラム

マーダードの舞台はセイラム。かつて魔女狩りが行われ、多くの命が奪われた事件、セイラム魔女裁判が起こった町です。

 町には魔女狩りが行われた時代の幽霊が至るところに居ます。会話は出来ず、近付くと消えてしまいます。

 

動きも話もせず、ただ何かを訴えたいかのようにそこにいるだけ。

幽霊と遭遇した時のような、どう対処すれば良いか分からない不気味さがあります。

 

 

また、本作には建物の幽霊もいます。デッドマンズQ(荒木飛呂彦)みたいですが、これは残留思念です。

 

セイラム魔女裁判の犠牲者の残留思考なのか、建物自体のものなのか。

セイラムの至るところに当時の建造物やオブジェクトが幽霊として存在しています。

 

前述の幽霊と共に、奇妙で違和感のある世界観が演出されています。

 

幽霊ならではの捜査・推理

マーダードの特徴は幽霊にしか出来ないような捜査方法です。

 

マーダードのストーリーは、未練を残して幽霊となった刑事、ロナン・オコナー(CV:山寺宏一)が、自分を殺害した連続殺人鬼、ベル・キラーの正体に迫るというもの。

 

犯行現場で証拠を集め、ベル・キラーの犯行や行動を推理するのがゲームの中心。戦闘などはほぼ無く、推理アドベンチャーといえます。

 

 

証拠集めには憑依して思考を操作したり、残留思念を読み取って犯行の瞬間を見たりなど、人間には不可能な捜査を出来るのが大きな魅力。

 

こうして集めた証拠を手掛かりに、自力で推理するのも楽しいです。

もし間違えても考え直しになるだけでペナルティは無し。どうしても解らなければ総当たりで何とかなります。

 

 

悪霊のデザイン、存在感

ゲームを進めていると、建物の中に悪霊が出現します。

街中の幽霊とは明らかに違う、禍々しく一目でヤバいと分かる見た目です。

 

悪霊が徘徊する空間に入ると、耳を突き刺すような叫び声が響きます。この叫び声の怖さが尋常じゃないレベルです。

イヤホンで聞くと本能的な恐怖を感じされられる程。

 

見付かったら隠れない限りどこまでも追いかけて来ます。リアルに身の危険を覚えます。

 

見つからないように背後から近づけば浄化(強制的に成仏させる事)が可能です。

 

この浄化の際、その悪霊の生前の姿が表れます。それが以外と普通の姿。

目の前の悪霊も以前は自分(ロナン)と同じ普通の幽霊だったのかも……と思わせられる、地味に良い演出です。

 

 

クリアしての感想

これはストーリーと雰囲気を楽しむ作品です。

 派手なアクションは無く、難易度も低め。

だからこそ雰囲気を楽しんでいればストーリーが進みます。

  

周回要素は無く、収集物をコンプリートしようと思ったらニューゲームでやらなければなりません。

 

憑依してもNPCで行動できる訳ではなく、思念操作も限られた場面でしか出来ないなど、自由度の面では首を傾げるのも事実。

 悪霊との戦いもオマケみたいなものですし、無視する事も出来ます。

 

 

よってマーダードをオススメしたいのは、「雰囲気の良いゲームがやりたい」、または「映画のようなストーリーに入り込みたい」という人。

 

逆に「ゲームといえばアクション性あってこそ!」という人は拍子抜けする出来と言えます。

 

総評

アクション性と自由度はイマイチ。しかしストーリーと雰囲気は最高峰

 映画を見るように楽しめば最高のゲームです。

 

難易度は低めで、収集要素をやらなければ5時間ほどでクリアできるお手軽なボリューム。

その分ストーリーに入り込めるし、ひたすら雰囲気を満喫出来ます。

 

ネットの評判を見て買い控えしているなら、雰囲気とアクションのどちらを重視するか考え直してから検討すると良いでしょう。