【映○研SS】水崎「今……2人で、何していたの……?」 浅草・金森「……!」

第二部の続きです。

登場人物は誰も傷つかないストーリーです。

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水崎「……つまり、浅草さんが初体験の相手になって欲しいと言って、金森さんがそれに応じて……」

金森「そうです」

水崎「次は浅草さんが金森さんの初体験の相手になって……」

浅草「そうなのだ」

水崎「で、一通り終わった頃に私が来て、偶然二人の会話を聞いてしまったと……」

金森「その通りです」

浅草「その通りだ」

 

水崎「……ごめん、話の流れに頭が追いついていかない」

金森「でしょうね……」

浅草「……」

 

水崎「えっと、二人は恋愛関係という訳じゃないんだよね……?」

金森「そうです」

水崎「かといって、身体だけの関係という訳でもない……?」

浅草「そうなのだ」

水崎「あくまでも、お互いの処女を貰いあっただけ……」

金森「その通りです」

浅草「その通りだ」

 

水崎「……ごめん。理解しようと頑張ってはいるんだけど、追いついたと思ったそばから遠くなっていく」

金森「分かります……」

浅草「ぎ……疑問点があったら言ってくれ。何でも隠さず説明するので……」

 


水崎「でも、金森さん。なんで私がいるって分かったの?」

金森「気配を感じたもので」

水崎「け……気配って」

浅草「扉の向こうの気配を感じ取るとは、金森氏はアサシンなのか」

水崎「金森さんなら暗殺者の副業をしていてもおかしくないかも……」

金森「ほめ言葉として受け取っておきます」

浅草「し……しかし金森氏。気配を感じたのは良いとしても、それが水崎氏では無かったらどうする気だったのだ?」

水崎「そうだよ。2人とも……その……そんなにあられもない姿なのに、悪漢・暴漢の類だったら危なかったじゃない」

金森「その可能性は低いと感じました」

浅草「ん……どうしてだ?」

 


金森「浅草氏、私たちは今日、入り口ではなく部室を修理したときに作った隠し扉から入りました。水崎氏もそうでしょう」

水崎「うん。浅草さんが金森さんに内緒で作った所から」

浅草「秘密基地的なテイストを取り入れたくて……」

 

金森「その隠し扉は顧問の藤本先生にも知られていません」

水崎「金森さんが塞ごうとしたけど、浅草さんがやめてって頼んでいたよね」

浅草「あれほど頭を下げたのは生まれて初めてだった……」

 

金森「そして正規の扉には外側から施錠しています。中に誰かが居るとは誰も思わないでしょう。さらに扉と窓には鳴子を仕掛けたので、むりやりこじ開ければ音で気付きます」

水崎「中に入ったらそんなのが仕掛けられていたから、何事かと思ったよ」

浅草「金森氏は本当に抜かりがないな」

 

金森「つまり……今この部室に入ってくる者が居るとすれば、それは隠し扉の存在を知っている人物……水崎氏である可能性が極めて高いのです」

浅草「流れるように美しいQ.E.D(証明終了)だ……」

水崎「推理モノならここで犯人の動機が告白されるシーンだね……」

 


水崎「そういえば金森さん。秋休みに入る前、金森さんだけ先に帰った日があったね」

金森「ああ……あの日ですか……あの時から準備を進めていましたので」

水崎「この部屋はどうやって生み出したの?」

金森「秋休みに入ってすぐ、私が作りました」

水崎「秋休みに入ってからって……たった3日で?」

金森「はい……私らは未成年ですからそういうホテルにはいけませんし。互いの自宅じゃ落ち着きませんし、かといってこの部室じゃ広すぎますし」

水崎「この家具も買い揃えたの?」

金森「それなりの雰囲気が必要かと思いまして……」

浅草「……」

 


水崎「私が知らない間に、2人でそんな話が進んでいたんだね……」

金森「……」

浅草「み……水崎氏?」

水崎「これ……そうとうお金かかったんじゃないの?」

金森「まぁ、そこそこの額は……。浅草氏の前で言うのははばかられますが」

浅草「……」

水崎「私に言ってくれれば、用意したのに」

金森「いや、それは……」

水崎「使っていないのが余っているし。言ってくれればタダで揃えられたよ?」

金森「ですが……」

浅草「……」

 

水崎「なんか、私だけ仲間はずれにされたみたいだね……」

 


浅草「ち……違うぞ水崎氏! そういう事では断じてない」

金森「そうですよ、誤解しないでください」

水崎「……でも、私には内緒にしていたんだよね?」

金森「そりゃあ……こういうデリケートな話は、当人同士でやろうってのが心情でしょう……」

水崎「もちろん、それはそうだけど……」

浅草「すまん、私が悪いのだ! 私が金森氏に頼んで、そのまま今日まで誰にも言わずにいたから……」

水崎「それは違うよ!」

金森「……」

 


水崎「浅草さんと金森さんの間で、そういう話が決まって……。でもそれを私にも言う……ってのは違うと思う。もし私が浅草さんだったとしても、誰にも言わないと思う」

浅草「……」

水崎「金森さん側だったとしても、誰にも言っていなかったと思う」

金森「……」

水崎「ゴメンね。面倒くさいこと言って」

浅草「面倒だなんて、そんなことは……」

金森「……」

水崎「いや……分かるんだよ? そういう話は、例え友達でも軽々しく話す事じゃないってのは、頭では理解出来るんだ。……でもさ」

 

水崎「理解は出来ても、納得するのは難しい事ってあるじゃん……」

浅草「水崎氏……」

金森「……」

水崎「ごめん……」

 


金森「水崎氏……どうすれば納得してくれますか?」

水崎「……」

金森「理由はどうあれ、私たちだけで事を進めたのは事実です。ですが、水崎氏を除け者にするつもりは無かったんです」

浅草「そうだぞ、水崎氏! 私も、そんなつもりは毛頭なかった!」

水崎「それはもちろん、分かっているよ……」

浅草「どうすれば納得してくれる? 水崎氏が納得してくれるなら、私は何でもするぞ!」

水崎「何でも……?」

浅草「あぁ、水崎氏は私の仲間だ。仲間が納得してくれるなら、何でもする。金森氏もそうだろう!?」

金森「はい、私もです」

 

金森「水崎氏。私は、普段は”何でもする”という弁明は口が裂けてもしません。責任を負えない事までは出来ないからです。ですが今、水崎氏が納得するなら、私は何でもします」

水崎「……本当に、何でもしてくれるの?」

金森「はい」

浅草「もちろんだ」

水崎「じゃあ……」

 

水崎「私の処女も、卒業させて」

 


浅草「水崎氏も……!?」

水崎「うん……」

金森「……」

水崎「私も……2人と一緒に処女を卒業したい……」

金森「水崎氏……冷静になってください」

水崎「私は冷静だよ……」

 

金森「水崎氏、これは水崎氏の一生に一度しかない事です。軽々しく決めたら後悔するかもしれません」

水崎「……そんな気持ちで言っているんじゃないよ」

金森「……私には、今の水崎氏はある種の自暴自棄でそう言っているように見えるんです」

水崎「自暴自棄なんかじゃないよ!」

金森「……」

浅草「水崎氏……」

 

水崎「私は……本当に今、二人にしてほしいと思っているよ」

 


金森「水崎氏……今から、私が思っている事をいいます。最後まで聞いてください」

水崎「……」

金森「私は、水崎氏が私たちの事を知って、その空気に当てられて、だったら自分も……となっているように思えるんです」

水崎「……」

金森「もしそうなら、水崎氏は将来、必ず後悔します」

水崎「……」

金森「水崎氏が本心から良いと思っているのなら、私はそれに応えます。ですが……お願いします、水崎氏。もう一度、自分に問い直してみて下さい」

水崎「……」

 


水崎「私、小学校でも中学校でも、友達が出来たって思ったことが無かったんだ」

金森「……」

水崎「仲良くしてくれた子はもちろん居るよ。優しい子で、私に良くしてくれたし、すごく恵まれていると思っている」

金森「……」

水崎「でも、実家がお金持ちだから、お金目当てで近寄ってくる子もたくさん居て……読者モデルを始めてから、そういう子がもっと多くなって……」

金森「……」

水崎「家の事も、モデルの事も考えないようにしていたけど、小さい頃からそうだったから……友達っていうのが、よく分からなくって……」

金森「……」

水崎「でも、高校に入って、アニ研の上映会で金森さんと浅草さんに出会って……」

金森「……」

水崎「一緒にアニメを作ったり、伝説のある所に取材にいったり、イベントで私達が作った作品を売ったり」

金森「……」

水崎「そんな毎日が、すごく楽しくって……」

金森「……」

水崎「初めて、友達がいるって、こういう事なんだろうなぁ……って思ったの」

 

水崎「友達が初めての事をするなら、私も一緒にやりたいって思うよ。それって、そんなにおかしい事かな……?」

金森「……」

浅草「水崎氏……」

 


金森「……分かりました」

水崎「……?」

金森「水崎氏の気持ちは伝わりました。その気持ちに、私は応えます」

 

水崎「え……?」

金森「水崎氏……私達と一緒に、処女を卒業しましょう」

 

浅草が金森に望みを打ち明けることで始まった時間が、終わりを迎えようとしていた。

 


金森「といっても……水崎氏側にも準備があるでしょうし。シャワーとか」

水崎「シャワーなら朝浴びたよ」

金森「え?」

浅草「おぉ、水崎氏は朝シャン文化圏に御住まいか……どうりで良い香りがすると思った」

水崎「朝ご飯食べた後に、歯も磨いた」

浅草「食べた後に磨く派か」

水崎「シャワーの前にトイレにも行ったし、その後は一度も行っていないよ」

金森「……なら準備は万端という訳ですね」

浅草「金森氏は朝シャンする派か?」

金森「風呂は夜に入れば充分という文化圏の出身です」

浅草「私もだ……」

金森「たまには私らもやってみますか」

 


金森「その前に……ちょっと待っていてください」

 

金森はマットレスの下から、お湯入りの容器を取り出した

 

水崎「それは?」

金森「お湯です。温めるものがあったので」

水崎「温めるって何を……あ……そうか」

浅草「うむ、おそらく今想像しているもので合っている」

金森「冷めてきましたから、取り替えてきます。すぐ戻りますので……」

水崎「……お湯って、この前、手に入れたケトルで?」

浅草「そうらしいぞ」

水崎「今後、暖かい物を飲むたびに思い出しちゃいそうだね」

浅草「そうかも知れませんな」

 


金森「お待たせしました……あと、これを」

浅草「それは、ミントタブレットか?」

金森「そうです。そろそろ効果が切れそうなので」

水崎「エチケットだね」

金森「どうぞ、水崎氏。浅草氏も」

浅草「あ……あぁ、かたじけない」

水崎「ありがとう、金森さん」

 

3人はミントタブレットを口に含む。しかしその時、浅草の脳裏に疑問が過ぎった。

浅草「(ん……?)」

 


金森「水崎氏、心の準備のほうは出来ましたか?」

水崎「うん……大丈夫」

金森「では……」

浅草「ちょ……ちょっと待ってくれ!」

金森「どうしました?」

浅草「えっと……水崎氏の相手は、金森氏が務めるという事で良いのだよな?」

金森「私はそのつもりでしたが……」

水崎「うん、私も……」

浅草「ワシはどうすれば良いのだろうか……?」

金森「あ……」

水崎「あ……」

 


浅草「金森氏、こういう場合はどうすれば良いのだ?」

金森「私もそこまでは分かりませんが……水崎氏、相手は1人の方が良いですよね?」

水崎「そ……そうだね。初めてだし、いきなり3Pっていうのはさすがに……」

浅草「あ……それなら、私は外に出ているから……」

 

浅草は部屋の外に出るため、自分の服に手を伸ばす。

 

水崎「……待って、浅草さん!」

浅草「な……何だ?」

水崎「浅草さんもここに居て……」

浅草「い……良いのか?」

水崎「うん……金森さんも、良い?」

金森「私は構いませんが」

浅草「……あぁ、分かった」

水崎「ありがとう……」

 


金森「じゃあ……水崎氏」

水崎「は……はい。よろしくお願いします……」

 

金森は水崎の背中に片手を、もう一方を後頭部に回す。水崎の緊張を少しずつ解くように、ゆっくりとした動作で唇を交わした。

 

水崎「ん……」

金森「大丈夫ですか、水崎氏。背中がエラく強張っていますよ」

水崎「うん、大丈夫……ちょっと緊張しちゃって」

浅草「(やはりか、水崎氏。その気持ちは私も分かるぞ……)」

水崎「わ……私の方はどうすれば良いのかな?」

金森「ひとまずは体の力を抜くのが先です。私に任せて、今はゆっくりしてください」

水崎「わ……分かった。体の力を抜く……体の力を……」

金森「……逆効果ですから、あまり意識しないでください」

 

金森は再び水崎と唇を重ねた。浅草の時と同じく、今回は長めに接触させる。

 


浅草「(私の時と流れが同じだ。金森氏の頭の中では、もう自分なりの定石のようなものが完成しているのかもしれん……だとすれば末恐ろしい学習能力だぞ)」

 

水崎との行為を見て、浅草はそんなことを思った。しかし当の金森は、何かの違和感を覚えたようだった。

 

金森「水崎氏?」

水崎「な……何?」

金森「……大丈夫ですか?」

水崎「だ……大丈夫だよ! ゴメン……」

浅草「(ん……何だ? どうしたのだ?)」

金森「……次は舌を絡めたいのですが、良いですか?」

水崎「う……うん、良いよ」

浅草「(水崎氏に事前確認した……? 私の時はやっていなかったが……)」

 

2人は深く、長く唇を交わし始める。

 


浅草「(長い……それに金森氏、水崎氏の体にずいぶん密着している。手の動きも、ゆっくりとだが、水崎氏の肩や背中を撫で回しているぞ)」

 

2人の様子に引っかかりを覚える浅草だったが、状況が状況だけに疑問を口に出せなかった。

金森「……水崎氏」

水崎「は……はい!?」

浅草「胸……触りますよ」

水崎「う……うん」

浅草「(金森氏、何やら今回はずいぶん事前確認を取っているな……)」

 

その後も金森は、次は何をやるか水崎に確認しながら、胸、腹部、太もも、そして局部へと進んでいった。

しかしその動きは謹言慎行(きんげんしんこう)。言葉を謹み、行動を慎む。

まるで明かりを持たずに暗闇を歩むかのような慎重さだった。

 


浅草「(分かった……水崎氏、尋常じゃないレベルで緊張しているんだ)」

水崎「あぁ……ん……あ……」

浅草「(金森氏が行動に移る前に確認していたのはそれでか。恐ろしく慎重なのも、水崎氏の緊張を少しずつほぐす為。確かに水崎氏は最初から緊張していたが……)」

水崎「はぁ……はぁ……」

浅草「(金森氏は”背中が強張っている”といっていたな……直接触っている金森氏には、手から身体の緊張具合の強さが伝わったのだろう)」

 

水崎「……金森さん、上手だね……」

金森「2回目ですし、いろいろ調べてきましたから」

水崎「おぉ……さすが金森さん。浅草さんの時も……上手かった?」

浅草「あぁ、私の時もすごく上手かったぞ。金森氏の学習能力は、本当にどうなっているのだ?」

金森「数学と違って暗記ですから、比較的ラクに覚えられました」

水崎「金森さん……経営面の能力も高いのに、何で数学は苦手なの?」

金森「私にも分かりません」

 


金森「水崎氏、そろそろ緊張も取れましたか?」

水崎「うん、金森さんが優しくしてくれたおかげで、相当マシになった」

金森「”こちら”の方もだいぶ濡れてきましたが……そろそろ、大丈夫そうですか?」

水崎「うん……大丈夫。お願い……」

金森「はい……」

 

金森はペニスバンドとローションを取り出し、装着に入った

 

浅草「み……水崎氏。私は本当にここにいても良いのか?」

水崎「うん。大丈夫……というか、ここに居て欲しい」

浅草「目線とか気にならないか? あまり凝視はしないようにしているが……」

水崎「大丈夫。むしろ浅草さんが居てくれた方が、心強いというか……」

浅草「あぁ……その気持ちは分かるぞ。私も一人では心細くて何もできん方だから」

水崎「あ……もちろん金森さんなら、丁寧にやってくれると思うよ……! 本当に……金森さんなら安心だけど、それでもやっぱり緊張する……というか、怖いというか……」

金森「大丈夫ですよ。そんなに弁明しなくても。私も分かります」

水崎「良かった……気を悪くしたら申し訳ないと思って……」

金森「気にしないでください、水崎氏。初めてなら緊張して当然です」

浅草「(金森氏も、表情はほとんど変わらなかったが……やはり緊張していたからな)」

 


ペニスバンドを装着した金森は、自身のそれと水崎の秘部にローションを塗る

 

水崎「暖かい……」

金森「冷たいものを塗られるのは嫌でしょうから」

水崎「金森さん……本当に今日まで初めてだったの? 上手すぎて、とてもそうは思えない……」

金森「浅草氏にも言われましたが、本当に初めてでしたよ」

水崎「すごい……私にはとても出来ない……」

 

ローションを塗り終え、金森は水崎に確認する

 

金森「では水崎氏……深呼吸して、身体の力を抜いてください」

水崎「わ……分かった」

金森「……挿れますよ」

 

水崎は胸の前で手を握り締めてながら言う。金森は浅草との時と同じく、ゆっくりと慎重に挿入した

 


水崎「うッ……」

金森「……」

水崎「う……あぁ……!」

 

水崎の反応は、浅草や金森よりも激しかった。金森は早々に動きを止め、水崎に問いかけた

 

金森「痛みが強いですか、水崎氏?」

水崎「はぁ……はぁ……」

金森「……大丈夫ですか?」

水崎「……うん、痛いけど、大丈夫……」

金森「もう少しだけ動いても、大丈夫そうですか?」

水崎「うん……やって」

 

金森はよりゆっくり、丁寧に動き始めた

 


水崎「ん……はぁ……はぁ……」

金森「……」

浅草「(水崎氏……大丈夫なのか)」

水崎「金森さん……」

金森「はい?」

水崎「……抱かせて貰っても良い?」

金森「……はい、どうぞ」

 

水崎は胸の前で握っていた両手で、金森を抱きしめる。その力は不安に抗うように強かった。

水崎の腕を受け入れながら、金森は動きを続けた。

 

水崎「はぁ……はぁ……」

金森「……」

水崎「んッ……」

金森「……」

水崎「あッ……はぁ……」

金森「水崎氏、かなり痛みますか?」

水崎「……うん、痛い。でも、最初よりマシになったよ」

金森「無理はしないでください。一回抜きますね」

水崎「うん……」

 


金森はゆっくりと腰を引いた。やはりそれには、ローションに混じって、血が付いていた

 

水崎「はぁ……はぁ……」

金森「大丈夫ですか、水崎氏?」

水崎「大丈夫……私にも見せて」

 

水崎は身体を起こし、金森の下半身に装着されたペニスバンドを見つめた

 

水崎「……ありがとう、金森さん。これで私、処女卒業だね」

金森「はい……おめでとうございます」

 

水崎は金森をジッと見つめる。それに応えるように、金森は水崎の背中に手を回した。

身体は密着させず、距離を開けて行われるハグ。

それは身体的なものではなく、互いの精神に接し合うかのような行為だった

 

水崎「金森さんも、痛かった?」

金森「はい、私も水崎氏のように、痛みを覚えました」

水崎「浅草さんも?」

浅草「うむ、想像していたより痛かったぞ」

水崎「そっか……私も、2人と同じなんだね」

浅草「水崎氏……処女卒業、おめでとう」

水崎「……ありがとう」

 

水崎の顔には、それまでの緊張が嘘だったかのように柔らかな笑顔が浮かんでいた。

 


水崎「まだ心臓がドキドキしているよ……」

浅草「私も同じだったぞ」

水崎「浅草さんもだったんだ……やっぱりそうだよね」

金森「私もですよ」

水崎「え、金森さんも!?」

金森「私だって初めては緊張しますよ」

浅草「うむ、私ほどではないが、金森氏も緊張しているのは感じたぞ」

水崎「そうなんだ……なんかすごい親近感が湧いた」

金森「水崎氏と出会って半年近く経つはずですけど、今になってやっと親近感が湧いたんですか」

水崎「金森さんもこういう時は緊張するんだなー……って思うとさ」

 

3人はしばしの間、談笑した。水崎の緊張はすっかり解け、同じ試練を乗り越えた仲間と語り合うような雰囲気をかもし出していた。

 


金森「ところで水崎氏」

水崎「何、金森さん?」

金森「もしも大丈夫ならで良いんですが、もう少しやりませんか?」

水崎「え、もう少し?」

金森「はい、水崎氏には、経験して良かったという記憶で終わって欲しいんです」

水崎「経験して良かった……」

金森「はい。こういうのは本来、気持ち良い行為のはずでしょう。私は、水崎氏に気持ち良いという体験をして欲しいです」

水崎「……」

金森「どうですか?」

 

水崎は無言で考え込む。浅草は口を挟まなかった。金森が、水崎自身の意思で決めて欲しいと思っている事を汲み取ったからだ。

私もそうだった―――と言っては、水崎の意思がそれに流される可能性がある。

水崎の意思を尊重するため、浅草は言葉を発さずに水崎の答えを待った。

 

水崎「うん……金森さん、もう少し、お願い……」

金森「……はい。喜んでお引き受けします」

水崎「私……気持ちよくなって終わりたい」

金森「精一杯、やらせていただきます」

 


金森は準備に入る。その間、水崎は唇に指を当てていた

 

水崎「……浅草さん」

浅草「なんだ?」

水崎「キスしていい?」

浅草「わ……私とか?」

 

水崎の言葉に驚きつつも、浅草はそれに応じた。その結果、浅草はまたも驚愕した。

 

浅草「……!?」

水崎「……どうだった?」

浅草「水崎氏、今の……」

金森「相手を前にして、他の女とキスをするとは良い度胸ですね」

水崎「あ……ごめん、金森さん」

 


金森「水崎氏……まさか3Pを希望しているんですか?」

水崎「え? いや、違うよ! そういうのじゃない」

金森「いえ……もし水崎氏が希望するなら、私は出来るだけ応えるつもりですが……」

 

金森は浅草に目を向けながら言った。

 

水崎「違うの、そういうのじゃなくて……その……金森さん、キスさせて」

 

水崎の様子を怪訝に思いながらも、金森はキスに応じた。

 

水崎「どう……?」

金森「……上達しましたね、水崎氏」

浅草「(金森氏、やはりそうなのか……?)」

金森「……で、では水崎氏……良いですか?」

水崎「うん、お願いします、金森さん」

 

浅草「(水崎氏のキス……まるで金森氏にされたみたいだった……)」

 


金森「挿入しますよ……」

水崎「うん……」

水崎「んっ……」

金森「水崎氏、痛みますか?」

水崎「ううん、最初よりは全然痛くない」

金森「少しずつ、動いていきますね……」

 

金森は今日で2人目、回数にして4回目の挿入を行った。しかし動きは変わらず、相手を尊重する慎重さが表れていた。

 

水崎「はぁ……はぁ……」

浅草「(水崎氏……もうすっかり緊張は解けたようだな)」

水崎「金森さん……胸、触ってもいい?

金森「はい……良いですよ」

 

金森は動きを止め、水崎の手を受け入れる。水崎は仰向けで金森を見上げながら、金森の胸を愛でた。

その手の動きは、先ほどまで未経験だったものとは思えない滑らかさだった。

 

金森「水崎氏……気持ち良いです」

水崎「本当に……?」

金森「はい、本当ですよ……」

水崎「嬉しい……」

 

金森は水崎の手の感触を感じながら、ゆっくりと動き始める。2人は快感によって目線が揺れながらも、事前に示しあわせたかのように互いを見つめ合った。

 


水崎「ん……あっ……!」

金森「ハァ……ハァ……」

水崎「金森さん……抱きしめさせて」

金森「はい……私を、抱きしめてください」

 

水崎は金森を抱きよせ、それに導かれるように金森は水崎と身体を密着させる。その2人は互いに、もう離れたくないと願っているかのようだった。

 

水崎「んッ……あッ……金森さんッ……!」

金森「はぁ……はぁ……」

水崎「イきそう……金森さん……私、イきそう……!」

金森「水崎氏……私に、水崎氏を受け止させてください……」

水崎「金森さん……」

金森「水崎氏……」

水崎「んッ……あぁッ……!」

 

水崎は金森の温度を感じながら、強いエクスタシーを迎えた。感情が通じたかのように、金森も精神的な快感と満足感に包まれていた。

 

金森はこの直前に浅草とも経験している。しかし金森の一連の行為には、慣れた人間にありがちは雑さは少しも無い。

普段は人間らしい感情を見せない金森であるが、人としての優しさと、相手を思いやる慈しみを持っている。金森の所作は、そう感じさせるものだった。

 

この世のどんな光景よりも美しい―――

水崎の側に居た浅草には、今の2人を見てそう感じたのだった。

 


水崎「金森さん……気持ちよかった」

金森「私もです。水崎氏が満足してくれて、嬉しいですよ」

水崎「ありがとう……金森さん」

金森「どういたしまして」

水崎「浅草さんも……居てくれてありがとう」

浅草「あぁ……どういたしまして」

 

水崎は金森と、そして浅草と唇を重ねた。言葉では伝えきれないから、行動で感謝の意を伝えたい。そう感じさせるキスだった。

 


水崎「それにしても金森さん、本当に上手いね。調べただけでここまで出来るものなの」

金森「一生に一度の事なので、少しばかり念入りに学習しましたから」

浅草「金森氏……私にも優しくしてくれて嬉しかったぞ」

金森「浅草氏も丁寧にやってくれて、感謝しています」

 

互いが互いに感謝を伝え合う。この時の3人が居る小さな部屋は、この世で最も平和で暖かく、尊い空間だった。

 


金森「ところで水崎氏……キスの事ですが」

水崎「何、金森さん?」

金森「水崎氏のキス……私が学んできたやり方とそっくりだったんですが」

浅草「それは私も思ったぞ。まるで金森氏みたいだった」

水崎「あぁ、それか……金森さんがやったように、私もやってみたんだけど……」

金森「私のやり方を真似たんですか?」

浅草「それにしては上手すぎたが……」

水崎「そ……そう? 初めてでやり方が分からなかったから、金森さんと同じくやってみただけだんだけど」

浅草「それだけで……もはやトレース……いや、コピー&ペーストのレベルだったぞ」

水崎「そんなに似ていた?」

金森「はい。上達スピードが早すぎて驚きました」

 


浅草「そうか……理由が分かったぞ!」

水崎「な……何、理由って?」

浅草「水崎氏は目が恐ろしく良かったよな?」

水崎「うん、視力はかなり良い方だと思うけど……」

金森「そういえば水崎氏、飛んでいるドローンに書かれた文字が見えたって言っていましたね」

水崎「警備部のドローンだね。うん、見えた」

浅草「おそらく水崎氏は、単に視力だけが良いのではない。動きを読み取る能力も高いのだ」

水崎「動きを読み取る能力……?」

浅草「そうだ。人や物の動きを、録画したかのように細かく記憶しているのだ。絵を描くのが上手い人に見られる能力だと聞いたことがあるぞ」

金森「確かに……水崎氏は人物画を描いてきたのですから、その能力が高いのもうなずけますね」

 


水崎「そうかな……浅草さんだって絵が上手いじゃない」

浅草「私は物体専門だし、キャラ絵は今も苦手だ。水崎氏の方が何倍も上手い」

金森「水崎氏、最初に作った『戦車とガスマスク』の時の事を覚えていますか?」

水崎「うん、覚えているよ」

金森「水崎氏は鏡の前で、ナタのアクションを練習していましたよね。そしてあの主人公も、水崎氏の動きがそのままトレースされていました。あれも動きを捉える能力が高いと考えれば説明が付きます」

浅草「あぁ。きっと水崎氏はリアルさを追求する過程で、動きを正確に理解する能力が磨かれたのだ」

水崎「そうか……だから金森さんのやり方も、そっくり真似できたのかな」

金森「そうでしょうね。水崎氏の能力の賜物です」

水崎「そうかもね。自分ではよく分からないけど」

浅草「自分の能力は、自分じゃ分からないものだ」

 


金森「しかし……よく考えたら私ら、そうとう珍しい経験しましたね」

浅草「確かに……」

水崎「うん、同じ日に3人揃って処女卒業って、かなり珍しいよね」

浅草「むむ……考えてみれば、これは本当にすごい体験だぞ。まるで桃園の誓いだ」

水崎「桃園の誓いって……三国志の?」

浅草「そうだ。我ら3人は、生まれた場所も時も違えど、処女を卒業した日は同じ。まさに三国時代の英雄……劉備関羽張飛のようではないか!」

金森「今回の事と同じにされては、その三将も草葉の陰で嘆くでしょうね」

浅草「うむ、かの義兄弟たちも、まさか私達のような経験はしなかったに違いない。我らは桃園の誓い以上に強い結束で結ばれたのだ!」

水崎「きっと三人で悔し涙を流しているだろうね!」

金森「どんだけポジティブなんですか、アンタらは」

 


笑いあう浅草と水崎を見ながら、金森はクーラーボックスから飲み物を取り出した

 

金森「じゃあ、先達の英雄たちに習って、私らも盃を交わしますか」

浅草「あれ。金森氏、水崎氏の分もあるのか」

金森「はい……当初の予定では二人分で足りるはずだったんですが……なぜか3本用意しようと思ったんです」

浅草「そうなのか?」

金森「はい……何故かは分かりませんが、水崎氏の顔が頭に浮かびまして」

浅草「水崎氏、これはきっと運命だったのだ。私たちは今日、三人で処女を卒業すると決まっていたのだ!」

水崎「えへへ……そうかもね」

金森「納得していただけましたか、水崎氏?」

水崎「うん……金森さん、浅草さん……ありがとう」

金森「どういたしまして……そして、ありがとうございます」

浅草「うむ、2人とも……ありがとう」

 

3人はペットボトル飲料で乾杯した。

 


この日以降、2人が、あるいは3人が、再び身体を重ね合わせる事はなかった。しかしそれは決して、仲違いやすれ違いがもたらした結果ではない。

傍目から見れば、3人はそれまでの距離感のまま。しかし、心の繋がりがほつれることは無く、むしろより強固なものとなっていた。

明確に意識はせず、言葉にも表さないものの、3人とも心のどこかでそれを感じていた。

 

 

秋が去り、冬を見送り、春が訪れ、また夏が来る。

この先も3人は映像研の仲間として、新しい物語を描いていく。

 


金森「進捗が遅れに遅れています! あんたら2人とも、今日から1日72時間、動画を描け!」

水崎「無理だよ、1日72時間労働なんて!」

浅草「待て、こうすれば良いのだ! これで作品の流れを崩さずに作業を短縮できるぞ!」

 

浅草・金森・水崎が、次にどんな作品を生み出すのか。それもまた、別の物語である。

 

-完-