Dr.STONE(ドクターストーン)は異世界転生モノのお手本!なろう系作家は参考にすべき

オススメのマンガの1つに『Dr.STONEドクターストーン』があります。
今回は「Dr.ストーンって異世界転生のお手本みたいな作品だな」と思った話をします。

 

Dr.STONEドクターストーン)とは?

Dr.STONE

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Dr.ストーンは週刊少年ジャンプで連載されている作品です。

謎の光によって全人類が石化し、文明が崩壊。人類石化から3700年後、文明レベルが石器時代にまで退行した世界で2人の少年、千空大樹が目覚めます。千空は天才的頭脳を、大樹は無尽蔵の体力を駆使し、もう一度文明社会を取り戻す為に奮闘する。


科学をテーマにしており、電球や抗生物質、車といった現代物を一から作り出して文明レベルを上げていく展開が特徴。ジャンプらしいバトルもあり、SFクラフト冒険譚と言える作品です。

 

 

Dr.ストーンは異世界転生?

異世界転生モノには以下のような設定を使われる事が多いです。

 

  • 現世から別の世界へ生まれ変わる
  • きっかけは事故死や病死(いきなり転送されるなど例外もある)
  • 記憶を引き継いでいる
  • 現代の知識、技術を活用する
  • 死んだので基本的に帰れない


Dr.ストーンも記憶を引き継いで3700年後の世界に行き、科学の知識で現代品を作るという流れが見所です。文明が崩壊している為、完全な元の世界に戻ることも不可能。


生きたまま石化して復活しているので、正確には転生ではなく転移となります。

 

別にDr.ストーンが異世界転生のパクりと言っているのではありません。異世界転生というテーマ自体、最近出てきたものではなく神話レベルの大昔からあるので、珍しい設定ではありませんし。

とはいえ異世界転生モノと共通点が多いため、ある種の異世界転生と言って差し支えないでしょう。

 

 

異世界転生のお手本!Dr.ストーンが面白い理由


失敗描写があり、主人公無双になっていない

Dr.ストーンの主人公、千空は科学の天才です。知能が高く、3700年間ひたすら秒数を数え続け、石化が解けた直後に暗算で西暦何年かを特定するほど。

 

このレベルの天才なのに失敗する描写があります。初めて作るものはまず上手くいかず、不完全なものが出来上がります。


異世界転生でよく言われるのが、「主人公無双になりがち」です。

異世界転生は作中の世界観に対して主人公の知識・技術が高度過ぎる場合が多い。その為、何気ないことをやっただけで強キャラ認定される流れが多々見られます。

しかも現代人なら普通に出来る事なので、失敗する場面がほぼ出てこない。(特に序盤は主人公を持ち上げたいが為に失敗するシーンを出さない)

 

 

現実と遜色ないものをいきなり作れたら、如何にマンガといえど非現実的です。流れが唐突で読者は置いてけぼり。『失敗描写』は、主人公無双にならないために大切なものの1つです。

 

Dr.ストーンの失敗描写例:微妙なラーメン

千空は村人を仲間に引き入れる為に、ラーメンを作ります。食いモノで吊ろうという企みです。

このラーメンがかなり微妙な完成度。村人には好評なものの、本物の味を知っている千空は膝を折るような味です。小麦ではなく猫じゃらし(麻の一種)を使ったせいか、ボソボソで苦味の強い味わいでした。作者も実際に作り、微妙な味だったそう。

 

いくら作り方を知っていても、材料があるとは限らないし、代用品を使えば最適な素材で作るよりもレベルが落ちるのは当然。知識と実践のギャップをしっかり描いてくれるから違和感もなく、むしろ面白さに繋がるというものです。

 

 

主人公に試練を与えている。ピンチを解決させる流れが見事

面白いストーリーを作るコツに、「主人公をピンチに陥らせ、解決させる」というものがあります。昔、小説を書いていた頃にそんなアドバイスを見ました。

 

あえて主人公に苦難を与え、乗り越えさせる。これを繰り返すだけでストーリーになります。逆にピンチに陥り悩む描写がないと、淡々と進むだけのストーリーになります。起伏の無いストーリーは面白くありません。

 

もちろんやりすぎは禁物です。たとえば東京喰種(トーキョーグール)はピンチが多すぎて、主人公が本気で気の毒になってきます。本当に可哀想で、「もう金木クンを休ませてあげて……泣」となりました。

あそこまででは無いにしても、主人公に苦難を与えて乗り越えさせるのがストーリーを面白くするコツです。

 

 

Dr.ストーンは主人公がとにかく苦労する。その姿は格好悪いほど

タングステンを探しに行く話で、千空は縦穴に落ちてしまいます。脱出する為に穴へ水を引き込むも、水に体温を奪われて凍えそうに。この話は敵対していたキャラが仲間になるイベントも同時に進みます。ピンチを脱しつつ仲間もできる、一石二鳥な展開を面白く描いてくれた良い話です。


作中で千空がピンチに陥るシーンって、千空の姿がものすごく苦労している感溢れるように描かれます。誤解を恐れず言えば、超カッコ悪い。冷や汗をかくわ、顔がギャグ漫画レベルに崩れるわ、とにかく不恰好。作画の力も大きいおかげで、格好良いシーンとの落差が酷いほどです。

 

こう描いてくれるからこそ、キメた時の格好良さが映えます。格好良さとダサさは、切っても切れない関係だと思います。ピンチに喘いで苦労している姿は格好悪いものですが、それが無いと格好良いシーンも味気ないし、キャラに共感も出来ません。主人公だからこそ、勇気を持ってダサく描くのが大切です。

 

 

作るものがかなり不恰好。実際に作ればこんなものというリアルさ

作中では色んな現代品を作ります。しかし現代人である我々の目線で見るとかなり不恰好です。ガスマスクも車もラーメンも。

 

これは悪口じゃなく、むしろリアルで大変すばらしいと思います。普通に考えて、作り方を知っていても技術が無ければ見た目まで再現できるはずがありません。

 

例えばたいまつだって布を巻き付けて火を付けた木の棒ですが、実際に作ると漫画みたいに綺麗な見た目にはなりません。小学生時代に作りましたが、地味に難しいですよアレ。まず真っ直ぐで手頃な太さの棒なんて自然界じゃなかなか見つかりませんから。

 

Dr.ストーンに出てくる現代品も、ほとんどが不恰好な見た目です。「製造技術なしで仕組みだけ分かる状態で作ったら、実際に出来上がるのはこんなもんだよね」と、リアルに考えられたようなデザインが好きです。

 

 

主人公の弱点を仲間がフォローする

Dr.ストーンでは異世界転生にありがちな主人公無双はまず起こりません!

 

千空は科学知識こそすごいものの、体力は人並み以下という弱点があります。戦闘に向いていないどころか作中最弱クラスといって良い。その為、体力が必要な場面では体力がチートレベルに高い大樹が活躍したり、他の村人達の力を借りたりします。


また単刀直入に答えを求める、いかにも科学者タイプな性格であり、人の心を巧みに動かすような立ち回りが苦手。よって人心を動かすのはメンタリストのゲンの役目です(人の心が分からない訳ではなく、ただ苦手というだけ)。


作中で起こる問題を解決する時は、ほぼ確実に他のキャラの力を借ります。

 

前述のタングステンの話でも、最初にタングステンを見つけたのは村の子供、イカです。スイカは自然の中で遊ぶのが大好きな少女で、植物を感覚的に見分ける才能が培われました。

遠くが見えない目の病気、ボヤボヤ病(実は病気ではなくタダの近眼)を、千空に作って貰ったメガネで克服。その後は千空に協力するようになります。


最初のタングステンも、スイカが変わった石だと拾ったものであり、千空はそれを見て「タングステンがあれば何とかなる!」と閃きました。もしスイカが居なければ解決出来なかった可能性が高い。

 

こうした千空だけではどうにもならない問題を他のキャラがきっかけとなって解決する展開が多いです。主人公以外にもキッチリ役目を用意し、千空の取り巻きで終わることの無いようストーリーが作られています。


作中で千空は「色んな奴がいるのが科学文明の強さ」といっており、そのセリフにも説得力が生まれます。キャラに弱点を設定するのは創作におけるキャラ作りの基本ですが、その弱点を補う為に他のキャラ立たせられるので、やはり弱点は大切です。

 

 

異世界転生を書きたいならDr.ストーンをお手本にすべき!

近年は異世界転生がブームです。何かが流行すれば「自分も作りたい」と思う人が増えるもの。異世界転生を書きたい人はDr.ストーンをお手本にすると面白い話がかけるはず。

面白い異世界転生が見たい人にもオススメです。